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HEALTH WORDS / 用語解説

CFP-10

CFP-10とは、主に結核菌(結核の原因菌である*Mycobacterium tuberculosis*)のゲノム上に存在する遺伝子から発現し、宿主の免疫応答において重要な役割を果たす10kDaの培養上清プロテイン(Culture Filtrate Protein 10)のことである。1 このタンパク質はESAT-6とともに、結核の感染診断やワクチン開発の分野で極めて重要な標的として広く研究されている。2

CFP-10をコードする遺伝子は、結核菌の病原性に深く関与するRD1(Region of Difference 1)と呼ばれる領域に位置している。1 結核菌はこの領域を欠損しているカルメット・ゲラン桿菌(BCG)株には持たないため、CFP-10はBCGワクチン接種の影響を受けない特異的な抗原としての性質を備えている。2 この特性を利用して、結核の潜伏感染診断において高い特異度を発揮するインターフェロン・ガンマ遊離試験(IGRA)などの血液検査に活用されている。3

生体内においてCFP-10は、通常もう一つの主要な分泌タンパク質であるESAT-6と強固な複合体を形成して機能している。1 このESAT-6-CFP-10複合体は、結核菌が寄生するマクロファージなどの宿主細胞の細胞膜を破壊したり、アポトーシスを誘導したりすることで、菌の生存や増殖、さらには組織外への拡散を助ける病原因子として働くことが明らかにされている。2

また、CFP-10はT細胞を強力に刺激するT細胞抗原としての側面も持っており、宿主側ではこれに対する細胞性免疫応答が誘導される。2 臨床医学および予防医学の領域では、この免疫反応を利用したインターフェロン・ガンマ遊離試験によって、結核菌に感染しているか否かを正確に判定することが可能となっている。3 このようにCFP-10は、結核の病態機序の解明にとどまらず、現代の感染症対策における診断学および治療薬開発において不可欠な学術的標的分子の一つとして位置づけられている。1

参考文献・出典

  1. NCBI PubChem: https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/gene/887710 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2330-idsc/related-articles/2950-kj-tuberculosis.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  3. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html ↩1 ↩2