HEALTH WORDS / 用語解説
FGFR-2
Fibroblast Growth Factor Receptor 2
FGFR-2とは、線維芽細胞増殖因子(FGF)が結合する受容体チロシンキナーゼファミリーの一種であり、細胞の増殖、分化、遊走、アポトーシスなどの多様な細胞応答を制御する膜貫通型タンパク質である。1 FGFR-2は遺伝子によってコードされており、ヒトのゲノム上では10番染色体の長腕(10q26)に位置している。2
FGFR-2受容体は、細胞外ドメインにある免疫グロブリン様ドメイン、一回膜貫通領域、および細胞内にあるチロシンキナーゼドメインから構成されている。 リガンドである線維芽細胞増殖因子が細胞外ドメインに結合すると、受容体が二量体化を誘導し、自己リン酸化を介して下流のシグナル伝達経路が活性化される。 これにより、MAPK/ERK経路、PI3K/AKT経路、PLCγ経路などの主要な分子生物学的経路が刺激され、細胞の生存や代謝が調節される。3
この遺伝子およびタンパク質は、正常な胚発生や骨格形成において極めて重要な役割を果たしている。 特に、頭蓋骨の縫合線の正常な発達や間葉系細胞の分化に深く関与していることが知られている。4 そのため、FGFR-2の遺伝子変異や機能獲得型変異は、アペール症候群、クルゾン症候群、ファイファー症候群といった先天性の頭蓋骨早期癒合症を引き起こす原因となる。5
一方で、FGFR-2の異常は遺伝性疾患だけでなく、様々な悪性腫瘍の発症や進展にも深く関与していることが明らかにされている。 胃がん、乳がん、子宮内膜がんなどにおいて、FGFR-2の遺伝子増幅、過剰発現、あるいは点突然変異が高頻度に観察される。6 これらの腫瘍では、FGFR-2を介した持続的なシグナル伝達ががん細胞の無秩序な増殖や転移を促進するため、分子標的薬やチロシンキナーゼ阻害薬を用いたがん治療の重要な標的分子として注目されている。7
参考文献・出典
- NCI Dictionary of Cancer Terms: https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/fgfr2 ↩
- Genetics Home Reference / MedlinePlus: https://medlineplus.gov/genetics/gene/fgfr2/ ↩
- KEGG PATHWAY: https://www.genome.jp/pathway/hsa04010 ↩
- OMIM: https://www.omim.org/entry/176943 ↩
- NCBI Gene: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/2263 ↩
- ClinVar: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/clinvar/term/FGFR2/ ↩
- National Cancer Institute - Target: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/types/targeted-therapies/fgfr-inhibitors ↩