健康用語WEB事典

抗体(antibody : Ab)

形質細胞Bリンパ球B細胞)が産生する、免疫に関わるタンパク質

エミール・アドルフ・フォン・ベーリング(Emil Adolf von Behring)と北里柴三郎によって発見されたが、命名はその後に行われたとされる。*1

主に血液中や体液中に存在し、体内に侵入してきた病原体や破損した細胞などを捉えて、それを排除する働きをする。γ-グロブリンに含まれるため免疫グロブリンとも呼ばれる。*2*3*4

人体は、一度侵入してきた異物(抗原)に対して抗体を作り、以後同じ異物が侵入してきた時に対抗できるように備える。抗体によって免疫ができると、一度かかった病気にはかかりにくく、かかったとしても病気の症状が軽くて済む。これを二次応答と呼ぶ。

抗体は10~14日で合成される。一つの抗原に対して複数の抗体が生産される。1つのB細胞からは1種類の抗体のみ産生される。

抗体B細胞とよばれる特殊な白血球リンパ球)により作られるが、一個のB細胞は一種類の抗体を作ることが知られている。これは、このB細胞が先に述べたようにすでに抗体遺伝子を変化させて、特有の抗体を作るように分化してしまっているからである。また、この際一個の細胞には父方と母方の2個の抗体遺伝子を持っているが、実際に作られるのは、その一方だけである。*5

生物体内にバクテリアやその他の異物が侵入すると、抗体と呼ばれる一群の蛋白血液中に誘導され、これら異物集団(抗原と呼ぶ)に結合する。この時、通常抗体も数100から数万という莫大なタイプが誘導される。つまり、生体に進入する抗原が単一であっても抗体は1種類だけでなく、同一抗原に対して結合性のある複数の分子種からなる抗体が生産されることになる。*6

抗体反応の誘導にはヘルパーT細胞が重要。

人工的に抗体を生成する場合、哺乳類(鶏など)などが利用される。

タグ: 抗体 免疫 リンパ球 タンパク質

*1生化夜話 第24回:「抗体」という言葉を考えたのは誰?: https://www.cytivalifesciences.co.jp/newsletter/biodirect_mail/chem_story/98.html
*2多発性骨髄腫 - 金沢医科大学病院 - Kanazawa Medical University Hospital -: http://www.kanazawa-med.ac.jp/~hospital/post-40.html
*3ナツメ社 埼玉医科大学リウマチ膠原病院 教授 三村俊英 基礎からわかる免疫学
*4第一薬科大学 分子生命化学教室 荒牧弘範 特別演習 基礎薬学: http://square.umin.ac.jp/haramaki/yakudai/meneki/042507.pdf
*5総論 獲得免疫・免疫遺伝|教室概要|長崎熱帯医学研究所 宿主病態解析部門免疫遺伝学分野: http://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/hiraken/outline/medicine.html
*6佐賀大学医学部 モノクローナル抗体とは: http://www.microbio.med.saga-u.ac.jp/Lecture/kohashi3/part5/1.html

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このページの最終更新日時: 2021-10-16 (土) 06:49:22