HEALTH WORDS / 用語解説
牡蠣
牡蠣(カキ)とは、軟体動物門二枚殻綱イタボガキ科またはウグイスガイ目イガイ上科などに属する二枚貝の総称であり、古来より食用や薬用として利用されてきた水産資源である。1
カキ類は世界中の温帯から熱帶にかけての沿岸域や汽水域に広く生息しており、潮間帯から水深の浅い海底にかけての岩礁や干潟に固着して群落を形成する。2
生態的な特徴として、カキは濾過摂食と呼ばれる摂餌行動を行う。1
周囲の海水を体内に取り込み、その中に含まれる植物プランクトンや有機物の微粒子を鰓の繊毛運動によって捕捉して栄養源とする。2
この濾過能力の高さゆえに、生息する水域の環境や水質の影響を強く受ける生物としても知られている。1
日本国内で主に養殖および食用とされる代表的な種には、マガキとイワガキがある。2
マガキは日本における生産量の大部分を占める主要な品種であり、秋から冬にかけて旬を迎え、身が肥えてグリコーゲンや旨味成分が豊富になる。1
一方、イワガキは夏に旬を迎える品種であり、天然ものだけでなく種苗生産および養殖技術の発展によって周年的な供給体制も研究されている。2
栄養学的観点から、牡蠣は「海のミルク」と称されるほど栄養価に優れた食材である。1
良質な蛋白質をはじめとして、タウリン、グリコーゲン、各種ビタミン類、さらには亜鉛、鉄、銅などのミネラルが豊富に含まれている。1
特に必須ミネラルである亜鉛の含有量は食品の中でもトップクラスであり、味覚の正常な維持や免疫機能の維持、皮膚や粘膜の健康維持において重要な役割を果たす。1
また、肝臓の解毒作用を助け血中コレステロール値の調整に寄与するとされるタウリンや、即効性のエネルギー源となるグリコーゲンを多く含むため、疲労回復や滋養強壮に効果があるとされている。1
一方で、牡蠣を生食する際には衛生管理と食中毒への十分な注意が必要となる。1
カキは海水を大量に体内に取り込んで濾過するため、海水中にあるノロウイルスなどのウイルスや腸炎ビブリオなどの細菌が中腸腺(ウメ)などに蓄積されやすい特性を持つ。1
生食用として流通する牡蠣は、紫外線殺菌海水を用いた浄化処理や指定された採捕海域の衛生管理など、厳格な基準をクリアしたものに限られているが、免疫力の低下している高齢者や乳幼児などは、中心部までしっかりと加熱調理してから摂取することが推奨される。2