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HEALTH WORDS / 用語解説

HLH

HLHとは、正式名称をヘモファゴサイトティック・リンフヒスティオリシトシス(Hemophagocytic lymphohistiocytosis)といい、日本語では血球貪食症候群または血球貪食性リンパ組織球症と呼ばれる、過剰な免疫反応を特徴とする重篤な臨床症候群である。1 本疾患は、体内の免疫システムが異常に活性化されることにより、組織や臓器に深刻な障害を引き起こす疾患群の総称である。2

HLHは、大きく分けて遺伝的な要因によって発症する原発性(家族性)HLHと、感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患などを契機として後天的に発症する続発性(二次性)HLHに分類される。1 原発性HLHは主に小児期に発症することが多く、遺伝子変異によって細胞傷害性T細胞やNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の機能が低下または欠損することが原因となる。2 一方、続発性HLHは成人に見られることが多いが小児でも発症し、ウイルス感染(特にエプスタイン・バー・ウイルスなど)や悪性リンパ腫などの腫瘍が引き金となって急激に発症することがある。1

HLHの病態生理の核心は、免疫細胞の活性化とそれによる「サイトカインストーム」と呼ばれるサイトカインの過剰産生にある。2 本来であれば免疫応答は適切な時期に終結するべきであるが、HLHではT細胞やマクロファージが暴走し続け、体内に大量の炎症性サイトカインが放出される。1 その結果、活性化した組織球(マクロファージ)が、骨髄や脾臓、リンパ節などの組織において自身の赤血球、白血球、血小板などの血球成分を貪食(どんしょく)する現象が見られるようになり、これが疾患名の由来となっている。2

HLHの臨床的特徴としては、原因不明の持続的な発熱、肝腫大または脾腫、血球減少(貧血、白血球減少、血小板減少の二系統以上)が典型的な三徴として挙げられる。2 さらに、血液検査においては高フェリチン血症、高トリグリセリド血症(中性脂肪の上昇)、低フィブリノーゲン血症、および可溶性IL-2受容体の高値などが認められる。1 また、中枢神経系症状として、髄液細胞数の増加やタンパク質の高値を伴う脳症や痙攣、意識障害などが現れることもあり、病態が急速に進行して多臓器不全に至る危険性が極めて高い疾患である。2

HLHの診断は、国際的な診断基準(HLH-2004基準など)に基づいて行われる。1 この基準には、前述した発熱、脾腫、血球減少、高フェリチン血症、高トリグリセリド血症、低フィブリノーゲン血症のほか、骨髄等での血球貪食像の確認、NK細胞活性の低下、可溶性IL-2受容体の上昇といった項目が含まれており、これらの複数の基準を満たす場合にHLHと診断される。2 遺伝学的検査により関連する遺伝子変異が確認されることも診断の重要な根拠となる。1

HLHの治療においては、暴走した免疫反応と炎症を強力に抑え込むことが最優先される。1 初期治療としては、副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)や免疫抑制薬(シクロスポリンなど)、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、あるいは化学療法薬剤であるエトポシドなどが組み合わせて使用される。2 続発性HLHの場合は、その引き金となった基礎疾患(感染症や悪性腫瘍など)に対する治療を並行して行うことが不可欠である。1 原発性HLHや難治性の症例に対しては、根治的治療として造血幹細胞移植(骨髄移植など)が選択されることが多い。2

参考文献・出典

  1. 国立成育医療研究センター: https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/pedi_hemato/disease/hlh.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
  2. 小児慢性特定疾病情報センター: https://www.shouman.jp/disease/details/08_02_006/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9