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HEALTH WORDS / 用語解説

ケトン型酸敗

ケトン型酸敗とは、糖尿病の合併症である糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の別称であり、インスリンの著しい不足と血糖値の上昇、および血中のケトン体増加に伴う重篤な代謝性アシドーシスを引き起こす病態である。1 2 インスリンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンであり、血液中のグルコース(ブドウ糖)を細胞内に取り込ませてエネルギー源として利用する働きや、脂質およびタンパク質の代謝を調節する重要な生体機能を担っている。3 4 しかし、1型糖尿病の発症初期や、2型糖尿病の患者が感染症、外傷、心筋梗塞などの身体的ストレスにさらされた場合、あるいはインスリンの投与を自己判断で中断した場合などに、体組織におけるインスリンの作用が極度に低下または欠乏する事態が生じる。2 5

インスリンが不足すると、全身の細胞は主要なエネルギー源であるグルコースを取り込むことができなくなり、飢餓状態と誤認した生体は代償機序として脂肪組織から脂肪酸を大量に遊離させる。2 6 遊離した脂肪酸は肝臓へと運ばれ、そこでβ酸化を経てアセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトンといったケトン体へと変換される。6 2 通常、ケトン体は微量であればエネルギー基質として利用されるが、ケトン型酸敗の病態下では産生量が組織の利用能力や腎臓からの排泄能力を遥かに超えてしまい、血液中に急激に蓄積する。2 6

これらのケトン体は強い酸性物質であるため、血中に多量に溜まることで血液のpHが低下し、生命維持に不可欠な酸塩基平衡が著しく損なわれて代謝性アシドーシスが引き起こされる。2 6 さらに、インスリン作用不足による高血糖状態が持続すると、グルコースが持つ強い浸透圧によって尿細管での水分の再吸収が阻害され、多量の尿が排泄される浸透圧利尿が起こる。2 6 その結果、体液および電解質が激しく喪失し、重度の脱水症状や電解質異常を併発する。2 5

臨床的な症状としては、多尿、口渇、体重減少といった高血糖特有の兆候に加えて、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振などの消化器症状が頻繁にみられる。2 6 病態がさらに進行しアシドーシスが深刻化すると、体温低下、血圧低下、頻脈、呼吸困難、あるいは呼気中から果実臭(アセトン臭)が漂うようになり、意識障害や昏睡といった生命に関わる重篤な神経症状へと進展する危険性がある。2 5

ケトン型酸敗の診断は、血液検査における高血糖、代謝性アシドーシスの

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 難病情報センター: https://www.難病情報センター.jp/rynan/new/shousai/041_8.html ↩
  2. 国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター: https://dmic.hosp.ncgm.go.jp/general/about/complication/030/030.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-003.html ↩
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-045.html ↩
  5. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-057.html ↩1 ↩2 ↩3
  6. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-056.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6