HEALTH WORDS / 用語解説
プラズミノーゲン
Plasminogen
プラズミノーゲンとは、主として肝臓で合成されて血液中や細胞外基質に存在する、分子量約9万の糖タンパク質であり、線溶系の中核を担う不活性なチモゲン(酵素前駆体)である。1
本物質はアミノ酸が単一のポリペプチド鎖として長く連なった構造をしており、N末端側にリシン結合部位を持つクランバードメインが複数存在することで、フィブリンや細胞表面のレセプターへ特異的に結合する性質を備えている。2
生体内において、プラズミノーゲンは組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)やウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(u-PA)といったセリンプロテアーゼによる限定的なタンパク質分解を受けることで、アルギニン-バリン間の結合が切断され、活性型酵素であるプラスミンへと転換される。2
生成されたプラスミンは、血液凝固の際に形成されたフィブリンの網目構造を切断して血栓を溶解する線溶作用を発揮し、これにより血管内の血流維持や組織の修復プロセスにおいて極めて重要な役割を果たしている。1
また、プラズミノーゲンおよびプラスミンは単に血栓を溶かすだけでなく、細胞外マトリックスの分解を介した細胞の遊走、組織再構築、胚発生、炎症反応、さらには腫瘍の浸潤や転移といった多様な生理的および病理的な生体反応に関与していることが知られている。2
臨床医学の領域においては、血栓症の治療や予防を目的としてプラスミノーゲンアクチベーター製剤が用いられるほか、先天的なプラスミノーゲン欠乏症に起因する眼疾患などの病態に対しては血液製剤由来のプラズミノーゲン製剤を用いた補充療法が行われることがある。1
参考文献・出典
- 医療情報データベース 医薬品詳細: https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?med_id=00057312 ↩1 ↩2 ↩3
- KEGG MEDICUS: https://www.kegg.jp/entry/D07675 ↩1 ↩2 ↩3