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HEALTH WORDS / 用語解説

免疫組織化学染色

Immunohistochemistry

免疫組織化学染色とは、抗原抗体反応を利用して、組織標本中の特定のタンパク質などの分子の局在や発現量を可視化する実験手法である。1

この手法は、抗原に対する特異的な抗体を用いて組織や細胞内の標的分子を検出し、顕微鏡下で観察可能なシグナルへと変換する原理に基づいている。2

免疫組織化学染色の歴史的背景として、1940年代にアンス・コーン(Coons)らによって蛍光色素を抗体に結合させた蛍光抗体法が開発されたことが端緒となり、その後、酵素を用いた酵素抗体法や金コロイドなどの標識物質を用いた技術へと発展を遂げた。3

一般的な実験手順としては、まず採取した組織をホルマリンなどの固定液で固定し、組織の構造を維持した状態でパラフィンに包埋して薄切片を作製する。1

パラフィン包埋組織切片を用いる場合、脱パラフィン処理を行った後に、ホルマリン固定によってマスクされた抗原を検出可能にするための抗原賦活化処理が行われることが多い。2

次に、非特異的な抗体の吸着を防ぐためのブロッキング処理を施し、標的抗原に対する一次抗体を反応させ、さらに酵素や蛍光物質で標識された二次抗体を結合させる。3

酵素抗体法の場合、過酸化水素の存在下でDAB(ジアミノベンジジン)などの基質を加えることで酵素反応を起こさせ、抗原が存在する部位に不溶性の有色沈殿を形成させて光学顕微鏡で観察できるようにする。2

近年では、酵素の代わりに蛍光色素を用いる免疫蛍光染色法も広く普及しており、共焦点レーザー顕微鏡などを活用することで、複数の分子の共局在や詳細な細胞内局在を同時に解析することが可能となっている。1

臨床医学の分野において、免疫組織化学染色は病理診断の不可欠なツールとなっており、腫瘍の組織型の鑑別、原発巣の推定、悪性度の評価において極めて重要な役割を果たしている。2

また、特定の分子標的薬の投与対象となる患者を選別するためのバイオマーカーの検出にも利用され、個別化医療やプレシジョン・メディスンの推進に大きく貢献している。1

基礎生物学の領域においても、発生過程における特定のタンパク質の発現動態や、神経科学における神経回路網の解析、細胞生物学におけるオルガネラの動態解析など、幅広い研究目的に応用されている。3

参考文献・出典

  1. 日本病理学会 病理学用語集: https://jsp.or.jp/glossary/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/terminology/A027.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  3. 日本生化学会 生化学辞典: https://www.jbsoc.or.jp/seikagaku-jiten/ ↩1 ↩2 ↩3