HEALTH WORDS / 用語解説
IL-6
interleukin-6
病原体の排除や創傷治癒の役割を果たすインターロイキン。過剰または持続的な産生は炎症性疾患の発症や進展に関与することが知られている。当初はBSF-2と呼ばれた。1
T細胞やB細胞、単球、マクロファージ、滑膜線維芽細胞などから分泌され、B細胞の形質細胞への分化やその抗体産生の促進、T細胞や造血幹細胞の増殖に関わる。メサンギウム細胞やケラチノサイトの増殖因子でもある。関節リウマチにおけるパンヌスの形成では、B細胞から分泌されるIL-6が原因となる。血管からのPAI-1の放出を促進する。2345
感染などによる炎症後に産生され、肝臓に作用して血液中にCRPなどの急性期タンパク質を発現する。6
また、骨格筋の収縮(運動)によって分泌される。運動中にはIL-6の血中濃度は安静時の約100倍となる。
IL-6はAMPKをリン酸化で活性化することによって、骨格筋において、以下のように糖の使用を抑えて脂肪酸の利用を促進する。
- アセチルCoAカルボキシラーゼが減少するので、マロニルCoAの生成も減る。
- マロニルCoAが抑制しているCPT1の抑制が取れ、アシルCoAのミトコンドリア内への移行が増える。
- β酸化が促進され脂肪酸の消費が増える。
また、肝臓ではグルコースの生成を増やし、脂肪細胞では中性脂肪の分解を促進する。運動の習慣を持つ人は、骨格筋にIL-6の受容体が多くなり、IL-6の作用を受けやすい体となることが知られている。8
IL-6の受容体には膜結合型と可溶型があり、いずれもIL-6と複合体を形成した後、細胞上のgp130に結合して細胞内へとシグナルを伝える。9
参考文献・出典
- 炎症性疾患に対する IL-6 阻害療法:現状と今後の展開 田中敏郎: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/38/6/38_433/_pdf ↩
- サイトカインについて: http://www.microbio.med.saga-u.ac.jp/Lecture/kohashi3/part1/cytokine.html ↩
- 技術評論社 奈良信雄 知りたいサイエンス とっても気になる血液の科学(2010/1/5) ↩
- 関節リウマチ|大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学: http://www.imed3.med.osaka-u.ac.jp/disease/d-immu02-1.html ↩
- 新型コロナウイルス感染性肺炎の重症化抑制の仕組みを解明 IL-6 を抑えて血管障害因子の産生を抑制する: http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/research/upload_img/commentary_20200822j.pdf ↩
- 新たに判明 がんの転移を促進するメカニズム - 世界の幹細胞(関連)論文紹介 - 慶應義塾大学 グローバルCOEプログラム 幹細胞医学のための教育研究拠点: http://www.med.keio.ac.jp/gcoe-stemcell/treatise/2011/20120323_01.html ↩
- 東邦出版 星野泰三 吉田朋子 共著 がんのプレシジョン免疫学(2017/8/21) ↩
- 広島女学院大学論集 運動負荷とエネルギー代謝調節機構: http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/hju/detail/1018420120316093504 ↩
- リウマチ性疾患における分子標的治療 若林宏 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学: http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/5/52936/20160705104522143442/126_227.pdf ↩