HEALTH WORDS / 用語解説
リノール酸-13-ヒドロペルオキシド
リノール酸-13-ヒドロペルオキシドとは、不飽和脂肪酸であるリノール酸が酸化されることによって生成される代表的な過酸化脂質の1つであり、ヒドロペルオキシド構造を持つ化合物である。1
生体内においてリノール酸などの脂質が活性酸素やラジカルなどによる酸化ストレスを受けると、最初に一連の自動酸化反応や酵素的な反応を経て脂質過酸化物が形成される。2
この過程においてリノール酸の炭素鎖の特定の位置が酸化され、13位にハイドロパーオキサイド基が導入されたものがリノール酸-13-ヒドロペルオキシドである。
植物界においては、リポキシゲナーゼという酵素の作用によってリノール酸から特異的に産生される重要な代謝物としても知られている。3
植物組織が害虫による食害などの物理的なストレスを受けた際、リノール酸-13-ヒドロペルオキシドはオキシリピン代謝経路の基質となり、ジャスモン酸などの植物ホルモンや、独特の香気成分であるアルデヒド類へ変換される。3
これらの生合成された物質は、植物自身の生体防御応答や害虫に対する忌避物質として機能することが科学的に明らかにされている。
一方で動物や人体における生化学的観点からは、リノール酸-13-ヒドロペルオキシドは細胞膜を構成するリン脂質などの酸化変性を伴う過酸化脂質の一種として扱われる。1
生体内でこうした過酸化脂質が過剰に蓄積すると、タンパク質やDNAなどの生体分子との間で二次的な反応を引き起こし、細胞傷害や組織障害の原因となることがある。
そのため、リノール酸-13-ヒドロペルオキシドをはじめとするヒドロペルオキシド類の生成と分解、あるいは抗酸化物質による消去のバランスは、生体内の酸化還元調節や健康維持において極めて重要な要素とされている。2
食品化学の分野においても、リノール酸-13-ヒドロペルオキシドは食品の油脂が劣化する変敗の初期段階や、加熱調理および保存中における酸化度を評価するための重要な指標物質として研究されている。