HEALTH WORDS / 用語解説
天然化合物
Natural Compound
天然化合物とは、生物によって産生される有機化合物の総称であり、植物、動物、微生物などの生体内における代謝活動の産物として得られる物質を指す。1
これらは地球上の多様な生物種によって合成され、生態系における種間相互作用や防御機構、情報伝達などの多様な生理活性を担う分子として機能している。2
広義には生体を構成するタンパク質、核酸、多糖類などの生体高分子から、分子量の比較的小さな低分子化合物まで含まれるが、狭義の天然化合物は特に二次代謝産物を指すことが多い。3
二次代謝産物としての天然化合物は、生存に必須な一次代謝の直接的な産物とは異なり、特定の生物群が進化の過程で獲得した特有の化学構造を持つ分子群である。2
これらの化合物は、構造的な多様性と複雑性を特徴としており、長年にわたり人類の歴史において医薬品やそのリード化合物、香料、農薬などの実用的素材として利用されてきた。1
化学的な分類においては、炭素骨格や生合成経路に基づいていくつかの主要なグループに大別される。3
代表的なグループの一つであるテルペノイドは、イソプレン単位を基本骨格として構築される化合物群であり、植物の精油成分やホルモン、ステロイドの前駆体などがこれに該当する。1
また、アミノ酸や脂肪酸などの代謝物に由来するアルカロイドは、窒素原子を含んだ塩基性の複素環式化合物が多く、強い薬理作用や毒性を示すことが広く知られている。2
さらに、酢酸・マロン酸経路などを経て生合成されるポリケチドやフラボノイドなどのフェノール性化合物は、色素や抗酸化物質として植物体内に広く分布している。3
微生物が産生する天然化合物には、細菌や真菌に対する抗菌活性を示す抗生物質が多く含まれており、感染症の治療において現代医療に多大な貢献を果たしてきた。2
近年では、ゲノム解析技術の進展に伴い、微生物のゲノム上に眠る生合成遺伝子クラスターを網羅的に解析し、これまで培養困難であった生物からの新規天然化合物の探索や、異種発現系を用いた効率的な生産手法の研究が活発に行われている。1
参考文献・出典
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906013327685651 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- 国立国会図書館インターネット資料収集事業: https://www.ndl.go.jp/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201306024926501160 ↩1 ↩2 ↩3