γ-アミノ酪酸(gamma-aminobutyric acid : GABA)

抑制性シナプス神経伝達物質として働くアミノ酸GABAギャバ)とも表記される。*1

γ-アミノ酪酸(GABA)の化学構造

前駆体グルタミン酸で、グルタミン酸カルボキシル基が外れた構造を持つ。血液脳関門を通過できないため、神経細胞内でグルタミン酸グルタミン酸デカルボキシラーゼグルタミン酸脱炭酸酵素)によって触媒されて生成される。*2*3

GABA受容体に結合して神経の興奮を抑える働きをする。神経細胞のうち約30%はGABA性の抑制性ニューロンGABA作動性神経)とされ、主に抑制性神経伝達物質として働く。胎児期や条件によっては興奮性神経伝達物質としても働くことが確認されている。*4

成人のでは、γ-アミノ酪酸(GABA)はGABAA受容体に結合し、神経細胞過分極する抑制性神経伝達物質として知られている。しかし、幼弱な、あるいは成人のでも視交叉上核、外傷後の神経細胞に対しては、脱分極作用を示し、興奮性神経伝達物質として働くことが知られている。*5

経口摂取によって血圧低下作用や皮膚の弾力性改善効果が報告されている。*6

γ-アミノ酪酸による降圧は、心臓血管への自律神経神経節を一時的に遮断し、これらの収縮を抑制することと、延髄に作用してバソプレシン内分泌を抑制することによって起こるとされる。また、神経節などのGABAB受容体を介してノルアドレナリンの放出を抑制することも一因とされる。*7

ただし、経口摂取によって取り入れられたγ-アミノ酪酸は神経細胞には運ばれないため、神経伝達物質としては利用されない。

食品メーカーなどが「GABA入りのチョコレートを食べると、夜眠れますよ」といった宣伝をしているわけですが、残念ながらGABAそのものを食べても神経細胞には運ばれていきません。だから、科学的に見ればまったく無意味なことをすすめていると言えます。*8

γ-アミノ酪酸を含む食品

トマトはγ-アミノ酪酸を合成する酵素を持つためγ-アミノ酪酸を多く含む。

トマトは果実100gあたり62.6mgのγ-アミノ酪酸(GABA)を蓄積し、他の野菜・果実に比べて多いことが知られている。GABAは動物、植物、微生物に広く存在するアミノ酸の一種で、動物では血圧上昇抑制効果やリラックス効果などがある神経伝達物質として働く。*9

筑波大学生命環境系の江面浩教授、野中聡子助教らは、ゲノム編集技術によってGABAをより多く蓄積するトマトを作り出すことに成功した。*10

米に含まれているため、米を主食としている場合はサプリメントでの補充は不要とされる。バナナの皮にもグルタミン酸脱炭酸酵素の働きによって豊富に含まれる。*11

*1特集:GABAのはたらき - 理研BSIニュース No. 37(2007年10月号)- 独立行政法人 理化学研究所 脳科学総合研究センター(理研BSI): http://www.brain.riken.jp/bsi-news/bsinews37/no37/special.html
*2アミノ酸の分解: http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/amino_met.htm#decarboxylation
*3北海道医療大学薬学部衛生薬学講座(衛生化学)和田研究室 GABA(γ-アミノ酪酸):http://www.hoku-iryo-u.ac.jp/~wadakg/keyword/gaba.html
*4トランスポーターの基礎 グルタミン酸トランスポーター 田中光一: http://www.tmd.ac.jp/mri/aud/resources/CLINN2.pdf
*5KAKEN — 興奮性神経伝達物質としてのGABAの機能的役割: https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-13041016/
*6γ-アミノ酪酸の経口摂取による皮膚状態改善効果 外薗英樹 上原絵理子 三和酒類株式会社: https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/63/7/63_306/_article/-char/ja/
*7日本補完代替医療学会誌 特定保健用食品「血圧が高めの方に適する」表示をした食品について: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/5/1/5_1_37/_article/-char/ja/
*8技術評論社 石浦章一 タンパク質はすごい! 心と体の健康を作るタンパク質の秘密(2014/1/5)
*9トマト育種の新展開 ゲノム編集技術による理想のトマトのデザイン: http://www.science-academy.jp/showcase/14/pdf/T-001_showcase2015.pdf
*10筑波大学|お知らせ・情報|注目の研究|健康促進トマトとして期待 ゲノム編集技術を利用してγアミノ酪酸(GABA)高含有トマトを作出: http://www.tsukuba.ac.jp/attention-research/p201708011800.html
*11ギャバ(γ-アミノ酪酸)の抽出・合成及び活用に関する研究: http://www.fit.ac.jp/kenkyu_shokai/archives/19

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このページの最終更新日時: 2019-02-10 (日) 20:26:42