HEALTH WORDS / 用語解説
微量栄養素
micronutrient
微量栄養素とは、生物の生存、成長、代謝、生理機能の維持において不可欠でありながら、生体内での合成が不可能または不十分であるため食事や栄養補給を通じて微量かつ継続的に摂取しなければならない必須栄養素の総称である。1
微量栄養素は主にビタミンおよびミネラル(鉱物質)の2つの大きなカテゴリーに分類され、これらはエネルギー源(カロリー)としての直接的な役割を持たないものの、生体内で進行する数々の化学反応や酵素の触媒作用、ホルモンの合成、免疫機能の調節などにおいて極めて重要な補因子として機能している。2
ビタミンは有機化合物のグループであり、水溶性ビタミン(ビタミンCやビタミンB群など)と脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど)に細分化される。2
水溶性ビタミンは体内の水分組織に存在し、過剰に摂取された分は尿として排泄されやすいため、生体内での毒性発現のリスクは比較的低いが、毎日の食事から枯渇しないように補給する必要がある。1
これに対して脂溶性ビタミンは脂肪組織や肝臓に蓄積される性質を持つため、欠乏症だけでなく、サプリメントの過剰摂取などによる過剰症や中毒症状を引き起こすリスクが存在する。1
一方、ミネラルは無機質の総称であり、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウムなどのように生体内に比較的多く存在する多量ミネラルと、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレンなどのようにごく微量でありながら生命維持に不可欠な微量元素(微量ミネラル)に分けられる。2
ミネラルは骨格や歯の構造を形成する材料となるほか、神経の興奮伝達、筋肉の収縮、体液の浸透圧の維持、酸塩基平衡の調節など、多岐にわたる生理学的プロセスの制御に関与している。1
微量栄養素が欠乏すると、それぞれの栄養素特有の欠乏症や代謝異常が発生する。2
例えば、鉄の欠乏は鉄欠乏性貧血を引き起こし、酸素運搬能力の低下に伴う疲労感や倦怠感をもたらす。1
また、ビタミンAの欠乏は視覚機能の障害や免疫力の低下を招き、ヨウ素の欠乏は甲状腺ホルモンの合成障害を引き起こすことで知られている。2
反対に、特定の微量栄養素を過剰に摂取した場合にも、生体に対する悪影響や健康被害が生じるため、各国の公的機関によって推奨量や耐容上限量が科学的根拠に基づいて厳格に策定されている。1
近年の分子生物学や栄養学の進展により、微量栄養素は単なる栄養障害の防止にとどまらず、遺伝子発現の調節、エピジェネティクス、抗酸化作用を介した生活習慣病の予防や老化抑制への関与など、より高度な生体調節機能を持つことが明らかにされつつある。2